知識コラム
Tシャツの『天竺』、読めますか?
「天竺(てんじく)」。Tシャツのタグや商品説明でよく見かけるこの言葉、正しく読んでいますか? 毎日着ている素材なのに、名前の意味や特性を知っている人は少ない。今日は、天竺ニットのことを少しだけ深掘りしてみます。

名前の由来
その名前は、インドからやってきた。
「天竺」は、古い日本語でインドを指す言葉です。江戸時代、インドや南アジアから輸入された綿製品が日本に伝わったとき、その素材を用いた編み物が「天竺もの」と呼ばれるようになりました。
現代では特定の産地を指すわけではありませんが、「天竺ニット」という名前はそのまま受け継がれ、今も広く使われています。言葉の中に、はるか遠い交易の記憶が残っているのです。

構造と特性
なぜTシャツは、ほとんど「天竺」なのか。
天竺ニットは、「平編み(ひらあみ)」という最もシンプルな編み構造でできています。1本の糸が連続してループをつくり、それが横に連なっていく。この規則的な構造が、天竺の特性を生み出しています。
軽くて柔らかく、程よく伸びる。洗濯に強く、毎日着ても型崩れしにくい。縦横どちらにも適度なストレッチがある。「毎日着るもの」に天竺が選ばれ続けているのは、こうした実用的なバランスの良さがあるからです。

スラブ天竺
太さのムラが、表情になる。
「スラブ」とは、糸の太さを意図的に不均一に作ったもの。その糸で編んだスラブ天竺は、表面に自然なムラ感が生まれます。均一ではないからこそ、着るほどに風合いが増していく素材です。Five Rulesでは「ポケット付Tシャツ【スラブ天竺】」にこの素材を採用しています。

吊り天竺(吊り編み天竺)
昔ながらの編み機が、密度を生む。
「吊り編み」とは、重力を利用してゆっくり編んでいく伝統的な製法です。通常の機械より時間はかかりますが、糸にテンションをかけずに編めるため、空気を含んだ柔らかさと高い密度が両立します。洗いこむほどに体に馴染んでいく、育てる素材です。

プレーティング天竺
2種の糸が、機能と肌触りを分担する。
「プレーティング」とは、異なる2種類の糸を組み合わせて編む手法です。肌に触れる裏面と、外から見える表面でそれぞれ異なる糸を使うことで、一枚の生地に複数の機能や表情を持たせることができます。Five Rulesの「モイストフレンチワンピース」や「モイスト半袖プルオーバー」にこの手法が活かされています。
天竺を知ったあとで、一枚選んでみてください。
天竺素材のアイテム
Q&A
天竺についてよく聞かれること
天竺ニットは、洗濯後に若干縮む場合があります。特にコットン100%のものは、初回洗濯後に少し縮むことがあります。洗濯表示に従い、乾燥機の使用を避け、形を整えて干すことで長くきれいな状態を保てます。
天竺(平編み)はニットの中で最もシンプルな構造で、軽さとオールラウンドな使いやすさが特徴です。リブ(畦編み)は伸縮性が高く、フライスは天竺より目が細かく薄手の仕上がりになります。天竺はTシャツやカットソーに広く採用されています。
スラブ天竺は糸の太さにムラがあるため、摩擦の多い部分(脇や袖の内側など)に毛玉が出やすい場合があります。裏返して洗濯ネットに入れて洗うと、摩擦を軽減できます。
素材を知ると、長く着たくなる。
「天竺」という言葉の向こうに、糸の構造、編み方の違い、歴史の積み重ねがある。毎日何気なく袖を通しているTシャツも、こうした背景を知ると、少し違って見えてくるかもしれません。





















